『SCARLET NEXUS』をクリアした感想です。
率直に言うと、このゲームは超脳力アクションのかっこよさと、王道JRPGらしい勢いのあるシナリオがかなり魅力的でした。
その一方で、ダンジョン構成やRPG部分はかなりシンプルで、後半は単調さも目立ちます。
ただ、それでもかなり好きな作品でした。粗さはあるのに妙な満足感が残る、ちょっと変な熱量を持ったJRPGだったと思います。
アクションの気持ちよさやアニメ調JRPGのノリを楽しみたい人にはかなり刺さるはず。
以下より、シナリオ、キャラクター、戦闘、ダンジョンまわりの順でネタバレありで感想を書いていきます。
- SCARLET NEXUSの評価|粗いが満足感は高い
- シナリオ感想|王道だが変な温度差が妙に面白い
- 戦闘感想|SASの超脳力アクションが気持ちいい
- ダンジョン感想|一本道だがグラフィックはかなり強い
- 総括|粗いが妙に好きになってしまうJRPG

SCARLET NEXUSの評価|粗いが満足感は高い
ジャンルはアクションRPG。RPGらしく、レベルの概念やストーリーがしっかり存在する。大まかなゲームの流れとしては、
- シナリオ
- ダンジョン攻略
- ボス戦
- シナリオ
- スタンバイフェイズ(仲間との交流やサブクエ等)
- 1に戻る
といった流れでゲームが進んでいく。これだけ聞くと普通のRPGって感じだが、本作はかなりハッキリとメインフェイズ(1~4)とスタンバイフェイズが分けられている。具体的にはロード画面で各フェイズがバチッと表示される。
そのため視覚的に今どのフェイズなのかが分かりやすい。
この仕様は凄くありがたかった。メインが中途半端な状態でサブやキャラ交流をやるのは何とな〜く「モヤモヤ感」があって。
そういった罪悪感のようなものを特に感じることも無くプレイできたのは快適だった。


シナリオ感想|王道だが変な温度差が妙に面白い
世界観は近未来。とりあえず物語のあらすじを公式からポン。
はるか昔、空より異形の生命体『怪異』が出現し、人間を含む生物の脳を捕食し始めた。
人類は地表で 閉塞した生活を送らざるを得なかったが、人が誰でも生まれながらに持った超感覚、『脳力』を武器として高度に発達した科学技術により、世界は大規模ネットワークを介し、あらゆるものが連結されていった。こうして脳科学が極度に発展した世界、ニューヒムカにおいて怪異に対抗するために組織されたのが、『怪異討伐軍(通称:怪伐軍)』である。
怪伐軍は突出して強力な脳力『超脳力』を持つ超勝力者の集団であり、唯一彼らだけが、
怪異を殲滅する力を持っている。
人々にとって怪伐軍は英雄であり、スターであり、憧れの的となっていた。公式サイトから抜粋 https://snx.bn-ent.net
パッと見だとよく分からないと思うので、ポイントを絞って箇条書きにすると、
- 敵は「怪異」と呼ばれ、主食は人間の脳みそ。
- 一方で「脳力」が開発され、世界もインターネットから「脳力」中心のインフラへと変化。
- 怪異を倒せるほどの脳力は「超脳力」と呼ばれ、軍隊へ入らなければならない規則がある。
- 主人公は開始時点で軍隊の新人。
こんな感じ。
この世界観の中で主人公は世界の真相に迫っていく……という割とベタベタな王道のヤツ。そこにタイムトラベル要素が加わり、仲間が増えていき……と、これぞJRPG!って感じ。これだ、これを待っていた。
ただ、本作は単なる王道JRPGとしてだけでは終わらない。
世界の作り自体はだいぶ重いのに、キャラクターのコミカルさはめちゃくちゃJRPGっぽい。このズレが、後半までずっと本作の"味"になっていた。

本作の主人公は男女2人で、男側は「ユイト」、女側は「カサネ」。どちらか選んでゲームスタートとなる。
簡単に説明すると、ユイトがマジで聖人かつお手本通りの既完成型主人公で、カサネがコミュ障気味の成長型主人公。
おおまかなシナリオとしては、ユイトとカサネがそれぞれ違う国家に所属し、争い合い、最後に協力してラスボスを倒す、というモノ。
基本的にどっちから遊んでも問題ないとのことだが、プレイした感じだとユイト編からのプレイじゃないとイマイチ話が分からないんじゃないかなと。
というのも、カサネ編は主にユイト編の補完的な向きが強く、初見だとちょっと置いてけぼりにされるかもしれないからだ。ユイト編もまあまあ置いてけぼりだったのは内緒

真面目な世界観なのに距離感だけ妙に近い
シナリオ全体としては、怪異という人類共通の敵が存在するにも関わらず、人間同士で争い合う、割と既視感がある仕上がり(直球)。
ただ、このシナリオの変な部分として、主人公2人が相手の所属する国家のクソなポイントをお互いに主張し合う、という想像の斜め上を行くレスバトルが展開される点が挙げられる。
人類の危機だってのに、論点が流石にちょっと浅すぎないか!?とはなったが、責任をとる立場の人間って案外そんなもんなのかもしれない。
中盤からアクシズのような第3勢力が本格的に登場するが(序盤から名前だけ登場してた)、こちらも控えめに言ってクソなので、さながらクソの大三角とでも言うべき図式となっている。地獄の様相である。
ここで面白いのは、対立の構図そのものは大きいのに、そこで交わされる言い分は妙に人間くさいことだ。
もっと大きな理屈でぶつかるのかと思いきや、「お前の国のここがダメだろ」という近い距離感の揉め方になっていく。このスモールサイズな感じが印象へ残る部分でもあった。

しかし、なんだかんだ終盤で共闘する流れは素直に熱い。
やはり自分と同格の力を持つライバルが共闘してラスボスに挑む図はどうやったって映える。
設定とキャラが良いので、それにつられてシナリオが良く見えている感は無くもないが、少なくとも僕はこのシナリオこそが本作を遊ぶ原動力だった。
王道JRPGとしての骨格自体はかなり真っ当なのに、その上に乗っている国家間の距離感や人物同士の判断が妙にガバい。この「真面目な世界観なのに、どこかズレている」感じが印象的。
総じて面白いシナリオだったと思う。

キャラのコミカルさがこの作品の味になっている
設定からして、シナリオの雰囲気自体はかなり暗め。
メインキャラが人格操作されて裏切る展開があったり、皆のアニキが死んだり、といった感じのイベントが普通にある。
その分キャラエピ等は基本明るめかつしょーもない話が多くて和む。『テイルズ』の文脈である。
ただ、対立してる国家のキャラからカフェでお茶の誘い等が普通にあるので、直前まで殺しあってたのにその温度差は何?!となる。でもこの辺のガバガバ具合まで含めて結構好き。


ちなみに筆者の推しキャラはゲンマというキャラ。見た目は筋肉質なオッサンなのだが、若者文化を知って貰おうとするユイトに街を連れ回される苦労人。
しかしエピソードを進めるとギョウザが好物なのが判明し、若者向けのインスタ映えしそうなカラフルなギョウザを美味い!美味い!としこたま食べていたり、若いモン(ユイト)に負けたくないとコッソリ筋トレしていたりと、とにかく萌えポイントをガンガン稼いでくる。
正直戦闘だとビミョーな性能だったが、そこは愛で不動のスタメンにしていた。マジで可愛いオッサンなので、興味ある方は是非プレイして確認してみて欲しい。

また話が少し戻るが、キャラの話で言えば、女主人公のカサネが重度のコミュ障であり、意味不明ムーブ連発してくるので、ストーリー上(特にユイト編で)彼女の行動にはかなり混乱する。
中盤まで「ユイトをコロす」ことが行動原理なヤベー奴。
終盤に差し掛かるくらいには「〇して解決するより、ユイトと一緒に解決法を考えた方がお互いにとっていい結果になりそう!」と思考を切り替えて途端に味方になる。
とんでもないサイコキャラである。いや……それは最初の方に思いついて然るべきなのでは……

ちなみに、カサネ編をプレイしても彼女の行動には「なんだコイツ?」となる。それくらい(序盤は)サイコなキャラ。
しかし、それ故にユイトよりもカサネの方が相対的な成長の幅がデカく、ストーリーに少年漫画的面白さがあった。
SFものとして設定をプッシュするだけでなく、キャラクターの人間性を前面に出してくる。この"JRPGらしさ"が、SCARLET NEXUSをただの重い物語で終わらせていない。

また、キャラエピを進めたり、プレゼントを渡すことでキャラの好感度が上がり、戦闘に役立つスキルを習得したり、戦闘中の掛け合いが増えたりする要素がある。
プレゼントを渡すと、キャラがそれを使って遊んだり、トレーニングに使ったりしてくれるのだが、拠点のフリースペースが妙に狭いので絵面が凄いことになる。

拠点をこのサイズにしようと考えた人はマジで天才だと思う。
明らかに休憩するのには向いてない人口密度なのだが、このわちゃわちゃ感がまた良い。拠点内移動が短時間で済むっていう物理的なありがたさもある。
こういう、各人が思い思いの行動をしている1枚絵はとてもJRPGらしく、画的に映える。終始楽しませて貰った。
戦闘感想|SASの超脳力アクションが気持ちいい
本作、アクションがとにかくカッコいい。
厨二感溢れつつ、スタイリッシュさも兼ね備えているという。もうスタイリッシュを超えた何かがそこにある。


更に、RPGらしくレベルが上がるにつれてアクションの数も増えていくので、それらを開放する楽しみもしっかりあった。
スキルマップで要素を開放できるが、割とサクサク開放していけるのでストレスフリー。気になった所だけ深掘りも余裕で出来る。

またSASと呼ばれる、攻撃に属性を乗せたり、瞬間移動や分身のような挙動を一時的に解放したりする強化要素がある。
これが本作の戦闘をかなり気持ちよくしている。通常時はあくまで地に足のついたアクションなのだが、SASを切ると一気に「今だけルールを踏み越えていい時間」に変わる。この落差があるから、発動時のカットインや操作感がしっかり快感に繋がっていた。
ブレインマップを深掘りしていくと、このSASを2つ、さらに終盤では最大4つまで同時発動できるようになる。ここまで来ると、ただ派手なだけじゃなく、できることが一気に増えて戦闘の景色そのものが変わる。そりゃもう脳汁が止まらん。


炎属性の攻撃を無敵でゴリ押したり、瞬間移動しつつ分身したり、4つ発動するとその全部ができたりもする。
色んな組み合わせがあるが、やはり4つ同時発動の快感・脱法感がたまらない。最高。

ただ難点を挙げるなら、ストーリー進行上、好きな組み合わせをできるのがかなり後半になってしまう点。そして何より火属性と雷属性のSASを同時発動できない点。
双属性なんて一番やりたい組み合わせなのに、何故かできない。コレができてたらもう100点だったんですがね。
まあ、出来たら出来たでバランス崩壊まっしぐらなのかもしれない。
でもエフェクトだけでもいいから見てぇよなァ〜〜。絶対カッコいいよコレ。炎と雷の性質を併せ持つ武器がカッコ悪いワケねーもん。

ダンジョン感想|一本道だがグラフィックはかなり強い
マップ(ダンジョン)の作りが死ぬほど一本道なのはちょっと残念ポイント。目的地がミニマップに出るので、それに向かってただ走るだけだった。
宝箱もかなりしょっぱい。更に途中にギミックも何も無く、怪異(敵)がちょいちょい出現するのでそれを倒すだけ、という塩梅のダンジョン構成。
バンナムだしそんなモン、と言ってしまえばそれまでだが、やはり期待していた分ちょっと残念でした。ここは流石に擁護できない。
そして後半の死ぬほど長いダンジョンは一体何なんだ。
結構探索を進めて「もう終わりかな?」と思ったらまだ半分程度だった時の「うわダルっ」感がハンパなかった。


しかし一方でグラフィックはマジで凄い。アニメ調の最高峰だと思う。もちろんムービーも凄い。
しかし、基本紙芝居でストーリー進行するので、気になる人は気になるかも。肝心なところは大体ムービー入ってたので、僕的にはそこまで。
本当にグラは凄まじかったので、間違いなくこのゲームのストロングポイントの1つだと思う。グラが良いってだけでゲームやりたくなるし。


総括|粗いが妙に好きになってしまうJRPG
満足
ダンジョンやRPG部分にはかなり不満もあります。
一本道のマップ、薄めの探索、後半の長いダンジョンあたりは、正直かなり人を選ぶと思いました。RPGとして見るとシンプルすぎると感じる部分もあります。
ただ、それを上回るくらい超脳力アクションの気持ちよさと、真面目な世界観とキャラクターのコミカルさ、そしてその変なズレごと好きになってしまった。
だから粗さは残るのに、読後感だけは妙に悪くない、という感じ。
アクション重視で、アニメ調JRPGのノリが好きな人なら十分触る価値はあると思います。気になる方はぜひプレイして、このゲームならではの気持ちよさを味わってみてください。

※粗はあるのに妙な満足感が残るゲーム、という意味では、前に書いた『CODE VEIN』の感想も少し近いです。
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