『超探偵事件簿 レインコード』をクリアしてきました。
犯行トリックは全体的に凝っており、手がかりを集めた段階では犯人どころか全容が見えない事件もある。
その状態で謎解きに入る場面も多く、ただストーリーを追うというより、事件そのものを少しずつ解いていく感覚が印象に残る推理ゲームでした。
今回はネタバレありで、本作の感想を書いていきます。

『超探偵事件簿 レインコード』は、犯人当てより事件解明が印象に残るゲームだった
ジャンルとしては推理アクションで、事件が起き、手がかりを集め、推理で真相に迫っていく流れはダンガンロンパに近い。
ただ、実際に遊んでいて受ける印象は少し違う。
レインコードは、ダンガンのように犯人の動機や人間性を掘り下げていくというより、割と徹底して「事件」を相手にしている。
謎解きの途中で犯行動機を探ることはあっても、それは犯人を理解するためというより、あくまで事件を解くための材料として扱われている印象だった。
正直に言えば、もう少し人と人のぶつかり合いを見たかったのが本音ではある。
けれど、その分だけ謎解きには集中できたし、終わってみればこれはこれで良かったとも思う。
少なくとも本作は、犯人当ての劇場型ミステリというより、事件を分解して解いていく探偵ものとして遊ぶ方がしっくりきた。

今回は完全に3Dマップで探索できることもあって、現場の状況が具体的にイメージしやすい。
登場人物も3Dモデルで動き、場面に応じて表情も変わる。事件発生後には住民への聞き込みをしたり、過去の事件を辿る際にはカナイ区中を歩き回ったりすることになる。
当然、事件現場も3Dで描かれているため、犯行トリックも過去作以上に立体的に感じられた。

今回は事件の手がかりを「解鍵」と呼び、証拠を鍵として集めていく。
とはいえ、例によってチェックポイントはきちんと用意されており、とりあえず全部調べれば詰むことはない。そこは安心して遊べた。
一方で、証拠集めの段階で「トリックは分からないけど、犯人はこいつだろうな」と何となく見えてしまうことがあるのは、やはり少し惜しかった。
これは過去作からそうなのだけど、演劇の回のように途中まで本気で分からなかった事件がある一方で、所長回のように証拠集めの時点でだいたい察せてしまう回もあった。
それでも満足感が落ちきらないのは、本作が犯人当てそのものより、事件の全体像をつなげていく面白さで引っ張っているからだと思う。

謎迷宮は、事件を解く快感をゲームらしく見せる舞台だった
謎解きの舞台になるのが謎迷宮。
謎を解くたびに奥へ進めるようになり、最奥まで辿り着くと犯人の魂へ到達できる。そこで魂を狩り取って成敗する、という流れである。
ここは設定も演出も含めて、いかにもこの制作陣らしい。ミニゲーム形式で謎を解いていく流れは、良くも悪くも見覚えのあるノリで、思わず笑ってしまう場面もあった。

QTE形式で選択肢を選ぶパートも多く、基本は3択なのだが、制限時間が絶妙に短い。
たかがゲームだろうと舐めていたら、普通にライフを削られまくった。2、3問に1問は普通にミスしていた気がする。

個人的に最も苦戦したのは死に神ちゃん危機一髪。
回転するタルに描かれた文字を拾って単語を作るミニゲームなのだが、制限時間も短ければ回転速度も速く、頭の中で言葉がまとまる前に時間が消える。
迷宮スキルを付けずに遊んでいたこともあって、本当に分からなくて何度かコンテニューしたのをよく覚えている。
特に「ほそいひも」と「きょうはん」は、素で詰まった。
あの手の難しさは、解けた時にはちゃんと手応えに変わる。
正解した瞬間に「散らばっていた情報がつながった」と感じる場面が多く、そこが本作らしさなのかなと。


過去作の学級裁判にあたる「推理デスマッチ」や、クライマックス推理にあたる「推理フィナーレ」もちゃんとある。
ここは過去作の流れを踏まえつつ、良い意味で分かりやすくなっていて、変なストレスは少ない。
全体として、普通なら「過程から結果へ」たどるところを、なぜか「結果から過程へ」整理していくような進行になっているのは少し気になったものの、トリックも含めて諸々の要素は楽しめたと思う。
テンポも悪くないし、何よりこの硬めの謎解きに対して、死に神ちゃんの合いの手が程よく効いている。事件を追う時間が重くなりすぎずに済んだ。


死に神ちゃんの軽さが、このゲームを息苦しくしない
このゲームを最後まで気持ちよく遊べた理由の一つは死に神ちゃんの存在だと思う。
単純にキャラとして可愛い、というのはもちろんある。謎迷宮での姿も可愛いし、霊体の姿にも妙な愛嬌がある。
ただ、自分がこのキャラを好きだった理由はそれだけではない。


このキャラは、メタ発言や軽口で事件解明パートの空気を少し崩してくれる。
レインコードは中身だけ見ればわりと真面目に事件を追うゲームなのだが、その真面目さをずっと真正面から受け続けると、人によってはやや硬く感じるかもしれない。
そこに死に神ちゃんが入ることで、空気が少しやわらぐ。混沌としていて、悪ノリもするのに、終始ユーマの良き相棒でいてくれる。このバランスがとても良かった。
見たことのあるムービーは基本スキップする派なのだが、死に神ちゃんのシーンだけは飛ばさず観ていたくらいには、事件を解く時間の相棒として欠かせなかった。

他の超探偵たちもそれぞれ魅力があった。各章ごとに一人の超探偵とバディを組み、事件を解決していく流れも分かりやすい。
ただ、だからこそ逆に、超探偵二人ないし全員で能力を使って解決するような話も見てみたかった気持ちはある。章ごとのバリエーションは、もう一歩広げられたかもしれない。
0章・2章・最終章に、このゲームらしさがよく出ていた
縦軸の話でいちばん印象に残っているのは0章だ。
超探偵5人が開幕で全員死ぬ、という導入は、これぞ!という衝撃があった。パッケージのほとんどが初手で消えるのも、やっていることが豪快すぎる。
その一方で、犯行トリックがベッド下に隠れるという、一周まわって妙に原始的なものだったのも面白い。
派手なシナリオに反して、やっていること自体は「事件をどう成立させたのか」を詰める話であり、この時点で本作の主軸が見えていた気がする。
そして、そんな0章から始まったストーリーは、縦軸として「カナイ区最大の謎」と「ユーマの成長」を主に据えつつ、横軸として「カナイ区の現状」を説明するという塩梅で進む。

個人的にいちばん好みだったのは2章だ。
過去の事件から始まる怨恨、ぱっと見では分からない犯行トリック、三人全員のアリバイが成立しているように見える状況。
あのあたりは、自分も前のめりになって遊んでいた。「んんん?」と頭を抱えながら、それでも少しずつ答えに近づいていく感覚がちゃんと面白かった。
危機一髪で「きょうはん」が出てこずに何度かやり直したのも含めて、あの章はレインコードが事件解明のゲームとして一番噛み合っていたように思う。

最終章も面白かった。
ある程度の解鍵が集まった段階でカナイ区の秘密はだいたい見えてくるのだが、ホムンクルスなのがユーマなのかマコトなのか、そこは結構ギリギリまで分からなくなっていた。
それまで事件を解くゲームとして進んできたものが、終盤で急に「過去の自分を越える」という熱い話に反転する。この温度差は危うさもあるが結構好き。
「血がピンク」という解鍵も、いかにもこの制作陣らしい。そういう悪ノリと真面目さの混ざり方も含めて、レインコードらしい終わり方だったと思う。

総括
満足
さすがに初めてダンガンロンパを遊んだ時の衝撃そのものを越えてはくれませんでしたが、それでもレインコードはレインコードでしっかり面白かったです。
想像していたよりずっと真面目な探偵ものを遊んだ満足感があります。
随所にダンガンの遺伝子は感じるのに、実際に遊んだ感触としては、犯人を断罪する派手さより、事件の全体像を組み上げていく面白さが前に出ており、本作らしさはしっかりあったかなと。
「世界探偵機構」という枠組みもあるし、続編はいくらでも作れそう。もし2作目が出るなら、たぶん普通に遊ぶと思います。
ちなみに、同じ制作陣の『HUNDRED LINE -最終防衛学園-』もプレイしましたが、こちらも相変わらずシナリオは面白かったです。シナリオは。
わーわー騒ぎましたが僕からは以上です。読んでいただきありがとうございました。