『イナズマイレブン 英雄たちのヴィクトリーロード(イナイレV)』をクリアしました。
率直な感想として、試合システムや進行の窮屈さには明確な不満がある一方、ストーリーの完成度が高かったです。
王道の熱血展開や、懐かしいキャラクターの再登場もあり、シリーズファンであれば満足度は高い内容だったのかなと。
以下より、クリア後の感想を詳しく書いていきます。

ストーリーが面白かった
シナリオはかなり面白かったと思う。
この大冷笑時代を逆行するかように、友情!努力!熱血!そして勝利!に振り切ったストーリーであり、往年のプレイヤーは大満足できる内容だったかなと。
- エア友達・エアサッカー・レスバが趣味のノンデリネトスト大魔神こと主人公笹波雲明
- 染岡スピリッツを受け継ぐキック力特化のおもしろヤンキー桜崎丈二
- いつもの男の娘枠かと思いきや普通に可愛い女の子だったネット民のアイドル忍原来夏
などなど、メインキャラの個性が相変わらずぶっ飛んでおり、キャラゲーとして隙が無い。
敵だったキャラが仲間になる展開も相変わらず。
そういった補強もしつつ、無名→全国レベルへ急速に成長を遂げていく展開は、『無印1』を踏襲しつつ、最新作らしくアップデートされている部分を感じられた。
特に「ラスボスが雷門」「ラスボスと主人公は序盤から深い関わりがある」「どっちが勝ってもほぼ展開が同じ」の3点は本作ならではの要素。
だからこそ、もうちょっと上手い構成にできたんじゃないか…みたいな気持ちはあるのだけど、十二分に楽しませてもらった。
ラストの盛り上がり含め、終始熱いストーリーだったなと。面白かったです。
雲明の「サッカーから逃げない」が芯

シナリオ自体は大まかに「サッカー部設立・予選編(前半)」と「決勝大会編(後半)」の2つに分けられる。
純粋な『ヴィクロ』らしい面白さが前半で、過去作キャラが今はこんな風に!的な楽しみ方がプラスで乗っかってくるのが後半、といった感じ。
僕的には前半が好みで、障害を乗り越えながら仲間集めする感じが最高にJRPGだった。
なによりもまず「サッカーがしたい」という動機が主人公の中にあり、自ら率先して動くことによって、サッカーができなくても自然と皆の精神的支柱になっていく構成が非常に少年漫画らしく、熱い。
そこの土台がしっかりしているからこそ、作中でこれだけ仲間!絆!を連呼されても、しっかり納得感がある。
試合の勝利にはこちらも嬉しくなれるし、満を持してフィールドプレイヤーに戻る展開にはとても熱くなれた。
今回は"チームの精神的支柱は雲明"と強調されていたが、もし次作があるなら"その支柱がポッキリ折れたら?"のパターンも見てみたい。僕はなにかと曇らせたがりおじさんなので、そういう展開の方がより好みだったりする。

思った以上にサッカーができない序盤が長く続いたが、逆に言うと、ココの尺をある程度長めに取っているからこそ、そこからの克己にカタルシスを感じることができた。
そしてこの"サッカーから逃げない"という決断こそが本作シナリオの全てであり、最初がクライマックスで、以降は正直オマケみたいな感覚だったりする。
確かにFF優勝という目的はあるが、ソレありきのチームではなく、サッカーから逃げなかったからこそ、その目標が湧いてきたというか。
究極的に言ってしまうと、別に優勝せずとも、なんなら途中で負けてしまってもストーリー的に違和感はない。
むしろこのチームでどこまで行けるのかという挑戦者の視点でシナリオを楽しむことができた。
だからこそ、優勝という結果は脚本の都合などではなく努力の結果だと言えるし、逆に雷門が優勝するシナリオでも抵抗なく受け入れられるのだ。

学園パートは基本寄り道
ストーリー以外での学園生活(サブクエ)も意外と”凝った”作りになっていた。
まあというか、最初の方こそマトモだったものの、次第に南雲原がヤバいヤツの巣窟であることが徐々に分かってくる(意味不明な部活が登場したり、マネージャーが結構イカレてたり等)。なんだこの学校……
報酬が美味しいのは嬉しい。メインクエ進行ノルマ発生→サブクエ達成→メイン進行~という導線もバッチリ。
練習試合だけで進めることもできるっぽいけど、僕的にはサブクエやりつつ~の方が楽しく遊べたかなと。
町の方はともかく、学園内のは達成しておいた方が色々な意味で面白いと思う。
なんなら主要キャラにまつわるモノは正直メインクエに入れた方が良かったんじゃないか…?というものも多く、寄り道ナシで進めてしまうと少し物足りない説すらある。
ここは少し不親切な部分かもしれない。
円堂ハルの物語は挑戦的だが粗さも残る

並行して描かれる本作ラスボス・円堂ハルの物語は、エピソードの雑さ・粗さが気になりつつも、後半の盛り上がりへの種蒔きとして必要不可欠だった。
あの円堂の息子ということで、イナイレ経験者なら自然と興味も湧く。あまりにもそれ一本だったのは問題だけど
恵まれた境遇の天才が、性質が真逆の元天才に影響を受けて自分を知り、互いに練磨し、最終的に雌雄を決する、という構成そのものは面白かった。やりたかったことも理解できる。
ただ開発期間の問題か、話づくりに関して色々と思うことはある。
なぜハルの過去を最初の方に提示しなかったのかだとか、"チーム内で浮いてる"という始まりだったのに着地点が「ソロ修行で強くなって、言葉とプレーで皆を引っ張る」なのはちょっと無理があるんじゃないかだとか、親父のスパイクの件はどこいったのだとか。
終わり良ければ…という話ではあるのだけど、もーちょい上手くやってくれたら更に面白かったかなと。
超絶もったいない部分だと思うし、もしアニメやるなら是非ともイイ感じに修正が入ると嬉しい。

後半ではいよいよフットボール・フロンティア(FF)決勝大会が開幕。ここから急激に超次元度が上がる。
主人公だからとか関係なく、イナイレ特有の「不自然なほど意図が伝わりづらい監督」をひたすら擦ってくる日野イズムに笑いつつ、急速にチームとしてまとまっていくフィールドプレイヤーの面々が熱い。
化身・ミキシマックスといった僕的に初見の要素もあり、それらを絡めたなにかしらの山場が毎試合あって、シンプルに見応えがあったなと。
特にミキシマックスは、「歴史上の人物にトランスする」的なモノだと風の噂で聞いていたが、今回はチームメイトになりきるということで度肝を抜かれた。俺はお前が怖いよ亀雄……
決勝戦は熱い

最も印象に残った試合はやはり決勝の雷門戦。
まさかのプレイヤー操作を両校から選べるという珍しい試みが実装されていた。
初回はさすがに南雲原を選んだが、雷門を選んだ場合でも結末は大体同じ。無印1の再現シーン以外は細部が違うのみ?
ただまあ今回は雷門側にそこまでの思い入れが無かったため、どちらかというと戸惑いの方が大きかったのが正直なところ。
単純にストーリー的にも、"今まで育成してきたキャラと戦いたい!"というゲーム的な意味でも南雲原を選びたくなるのが人情というもの。
せめてもう少し掘り下げがあれば選択の余地はあったかな、という感じ。

試合の見どころは色々あるが、分かりやすいところで言えばやはりハルの覚醒や雲明のフィールドプレイヤー出場あたりだろうか。
特に後者に関しては、ある程度予想はできていたものの、ここまで丁寧に温められた状況で満を持して終盤に出場!と、そりゃあ興奮するに決まっている。

また、最後までプレイして思ったのが、南雲原の切り札シュートが春雷1本だったのはかなり意外だったなと。
僕が知ってるタイトルでは結構なペースで習得し、大トリで最終戦にふさわしい必殺技を持ってくるところだが、それは雷門の特権なのか、主にハルがその役割を担っていた。
その技も、あのファイアトルネードの純粋強化版ということで新世代に相応しい技に仕上がっている。円堂の息子が繰り出すというのも熱い。
総じてよく出来ていると思う。
ガワは超次元だが本質は地に足がついている点は相変わらずのバランスで、頑張ることのカッコよさや努力の尊さ等、いまどき少し古臭いとされるテーマを前面にゴリゴリ押し出している点は凄く好み。
ただまあ大人勢の頼りなさについても良くも悪くも相変わらずであり、その辺の妙な違和感も相変わらず。この歳で改めて見ると「んん??」ってなりがち。
そこも含めた"味"ではあるので、せいぜい好き嫌いの問題だとは思う。令和になっても日野イズムは健在ということだろうか。

システム感想
ハッキリ言ってしまうと、僕はこのゲーム部分(UI等も含める)についてかなり好き嫌いが分かれた。
まずは好きな部分について語る。
これはもう必殺技まわりのシステム変更で間違いない。ココは明確に過去作より良く・面白くなっている点だと思う。
サッカーバトル中では、TP制ではなくテンション制になり、クールタイムにさえ気をつけていれば、気兼ねなく必殺技をガンガン使っていける仕様。
字面だけだと分かりづらいが、実際にプレイしてみるとその爽快感・快適さに驚いた。

徐々に強い技が使えるようになっていく仕様なので、同系統(シュート・ドリブル・ブロック)の技を複数持っていてもそれぞれに役割が生まれる。
なにより、死に技が発生しにくいのがアニメ再現としても非常に完成度が高い。
世代的にゴッドハンドやファイアトルネードなど、どうしても威力の低い技に思い入れがあり、それらを使う意味がちゃんとあるってのがなにより嬉しい。

同様に、キーパーまわりの仕様変更もかなり好みだった。
過去作までの威力vs威力というゲーム的に分かりやすい図式も嫌いではないが、アニメ再現という意味では圧倒的に本作へ軍配が上がる。
納得性のあるカタチでゲームとして落とし込めているのは本当に凄い発明だと思う。
「低威力の技を使う」という行為が、単なる舐めプではなく、「戦術的に技の使い分けができる」意味が生まれる。
これはとても良いシステム変更だと思う。世紀の発明ですよこれは。

他にも、キャラ毎に特定の技がボイス付きだったり、秘伝書が消費型ではなく気軽に付け替え可能になっていたり、技熟練度の仕様変更だったりと、総じて必殺技関連はとても好きなポイント。
ここはイナイレのユニークポイントでもあるため、それなりに力が入ってることが窺える出来栄え。
ちょくちょくガバポイントはあるものの(春雷の仕様とか)、修正はすぐに入れてくれるっぽいのでそのうち直りそう。
上記の通り、必殺技関連はよくできていて、それに伴ってサッカーバトル自体も概ね満足できるモノだと思う。面白い。
シナリオイベント戦の強制感がかなりストレス

しかし、それらの良さを全く消してしまうかのようなシナリオイベント戦はとにかくストレスが溜まった。
率直に言って面白くない。なんならちょっと不快だったまである。
特に、ストーリーモード中盤以降はこのモヤモヤが多い。
作り手の考えるシナリオに沿った試合展開にするべく、「この時間までに何点入れろ!」だの「コイツとフォーカスで競り合え!」だの、チームメンバー固定・ポジション固定で試合をさせられる。
とにかくシナリオにおける"遊び"の少なさが気になった。
「試合開幕に1点入った状態から操作スタート」程度ならまだいいのだけど、ここまで細かく指示されると流石に萎える。
せっかく熱い展開でテンションぶちあがってるのに、急に冷や水をぶっかけられて湯冷めしてしまうような、この感覚。
これは過去作でもそうなのだけど、そもそも昔からココは気になってたし、最新作でも据え置きなのかとかなり残念だった。
特訓ノルマが自由度を削っている

特訓ノルマについてもかなり気になった。
恐らくこの「戦闘力を上げる」という部分は"遊び"に相当する部分なのだろうが、いやそこは逆なんじゃないの!?、と。
どちらかというと「練習は厳しく、試合は楽しく」プレイしたい。
総じて、一応RPGを謳っているのならもう少し自由度が欲しかったなと思う。
クロニクルモードはまあ理解できるが、シナリオモードでコレはかなり残念。マルチメディア展開の弊害がモロに出てしまったか。
そして、これらの不満をシナリオの面白さで中和している謎の作品が『イナイレV』というタイトルである。なんだこのサウナみたいなゲームは。

終わりに
大満足でした
プラスもマイナスも語りましたが、結果的にはかなり満足できました。ストーリー重視なら十分おすすめできる作品です。
最近は特に友情!努力!勝利!なJRPGが出ておらず悶々としていた所に、本作が来てその需要が完全に満たされたカタチ。なにもかもテイルズ新作が出ないのが悪い。
終盤で次作が示唆されていたため、売上や評判によってはひょっとするかもしれません。続編出してくれ〜