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アニメ『Fate/strange Fake』感想|まだ始まってないのに、もう面白い

 

アニメ版の『Fate/Strange Fake』を13話まで観ました。


全体を通して、画面が賑やかで楽しい作品、というのが率直な感想。

物語が大きくうねる面白さというより、作画クオリティと今後の期待感で押してくる、意外にもパワー系な作品だった。

 

※以下より、アニメ版『Fate/strange Fake』第1期13話までの内容に触れながら、ネタバレありで感想を書いていきます。


ギルガメッシュやエルキドゥといった人気サーヴァント、アヤカ・サジョウや死徒といったファンへの目配せ、過去作キャラの息子まで登場し、常にソワソワした状態で鑑賞していた気がする。

 

7話までは大体そんな感じで、話の縦軸はほぼ進行していないのだけど、作画のクオリティも合わさって、視聴中の時間そのものは楽しい。


8話からようやく話が動き出し、各陣営が絡みつつ、ド派手なバトルでこれまた画面を賑やかしながら、様々な謎を提示して第13話でアニメ第1期は終了、という流れ。

 

Fate/strange Fake(1) (電撃文庫)


話が逸れるが、僕が群像劇に求めるものは、主に”溜め””うねり”である。


まず序盤のキャラ描写や状況説明で、各キャラの行動原理や性格、感情の動きのクセなどの情報を着実に”溜め”る。

 

ここでいう“溜め”は、単にプロフィールや設定を並べる時間ではない。

いざそのキャラが動いたときに、「こいつならそうするだろう」と思えるだけの納得感を積んでおく時間である。

キャラ数が多い群像劇ほど、この“溜め”を雑に流されると一気に納得感が薄れるし、そこが見えないまま大きな展開だけ起きても、僕の感情はあまり動かないのだ。


そして、中盤以降でキャラ同士が絡み、衝突し、物語の目標に向かって大局が”うねる”。

 

ここでの“うねり”も、単に話が派手に動くことではない。

あるキャラの事情が、別のキャラの目的とぶつかり、その衝突によって物語全体の流れが変わっていくことを指している。


要は、キャラそのものを愛でるというより、(キャラ同士の関係による)大局の動きを楽しむイメージ。


逆に、僕が好まない例として、スピード感を重視するあまり”溜め”をサボり、キャラと僕との感情にズレが生じ、結果的に”うねり”の納得感が欠如してしまうパターン。

 

そんでもって、噂に聞くところ本作はキャラ数が多く、陣営も多く、設定も多い。これを1クールで雑に走らせたら、どう考えても僕の好まないモノになってしまう。

 

それだけは避けてくれ……!と思いながら視聴した本作。結果としては、良い意味で予想を裏切られた。

 

Fate/strange Fake(2) (電撃文庫)


本作の特徴的なポイントは、1期のほとんどを”溜め”に充てている点。


中途半端に全部まとめるくらいなら、思い切って序盤に長尺を取ってしまおう(原作未完らしいのでそれもあるかも)。それだけだと退屈だからファンサ盛り盛り・作画ゴリゴリで画面を”楽しく”しよう。そういった割り切りを節々に感じた。

 

平成のオタクとしては、やはりどうしても死徒や埋葬機関という単語にはピクつくし、”ギルの本気”という謳い文句にはおおっ!となるし、”アーサーに憧れるセイバー”にはつい肩入れしてしまう。

 

小学生の頃、リアタイで『仮面ライダーディケイド』を観ていたときの感覚というか、「あ!この要素知ってる!」が毎話発生するあの快感。オタクの自己顕示欲がヒジョーーーにくすぐられる。


プラスで、「このサーヴァントの真名は?」「今回の聖杯は大丈夫なヤツなのか?」「そもそもこの舞台はなんなのか?」といったヒキで常に興味を引き、終始飽きさせないよう工夫された作品だったと思う。


本作は、“溜め”の時間そのものを楽しく見せてくれるアニメだったと感じる。

 

見ている側からすると「分かったから早く動いてくれ」と思いやすい部分を、上記のような要素で常に刺激を提供し、準備期間自体を楽しませてくれる。

この辺りはシリーズものの強みというか、型月というブランドを存分に活かした作りだよなァ、と。


それでいて、舞台説明が少しずつ挟まれたり、意外なところで同盟関係が結ばれたりと、ダレない程度に縦軸が入っていたのも良い塩梅だった。

 

結局のところ、僕が一番気になっているのは”Strange Fake”というタイトルの意味。

意外にも、重要な情報は小刻みに出してくれて、考察が捗るという意味で、やはり退屈はしなかった。

 

Fate/strange Fake(3) (電撃文庫)


溜めに終始せず、ちゃんと”うねり”の片鱗を見せてくれたのも良かったポイント。


8~13話において、各陣営の思惑が絡み、衝突し、”うねる”展開は、まだ片鱗とはいえ、やはり見応えのあるものだった。


例えば、ギルが脱落する一連の流れ。

 

直近まで多数サーヴァントを圧倒していたのもあり、「コイツ(ギル)に誰が勝てるんや……?」となっていたところに、急に脱落。

まさか最初の鍵ポイ捨てが布石だとは思わなかったし、明らかに蚊帳の外っぽい陣営が、いきなり物語の中心近くに食い込んできたことに驚きつつ、ニヤニヤを抑えられなかった。


それぞれ独立していると思った要素が、実は見えない部分で繋がっており、あるタイミングをキッカケとして、一気に戦局へ影響を及ぼす。

ここは群像劇のうま味が存分に出ていた場面だったと思うし、僕が群像劇に求めている“うねり”は、まさにこの感覚に近い。

 


もうひとつ、“うねり”の片鱗として印象に残ったのは、人間関係によって戦争への関わり方が変わっていく流れ。

 

「まずは自分が生き延びる」という利害で動いていたシグマが、椿やアサシン、そして椿を取り巻く状況と関わる中で、ただ生き残るだけではない行動を選び始める。

それまで大筋から独立気味だった関係が、一転して「これが後で戦局を動かすのかもしれない」という火種になり、キャラの感情や関係性がそのまま戦争の流れに接続されていく。

こういう関係の組み替わりも、群像劇の醍醐味だと思う。


上記の例以外にも、どの陣営も(展開上での)固有の役割があると思うし、現状それが全く読めない面白さがある。

 

なんなら風呂敷が広がりすぎているのではと心配している。キャラが多すぎることにより、場面が飛び飛びになって、終盤のまとめ方が散らかるんじゃないか……?みたいな。

 

この”着地の不透明さ”も醍醐味ではあるので、せいぜい楽しみにするしかないのかなと。

 

Fate/strange Fake(4) (電撃文庫)


総じて、(今後への期待込みで)かなり面白かったです。

 

じっくり”溜め”を作ってくれたおかげで、今後の”うねり”への期待感を得られたのが一番の収穫でした。これでまた生きる理由が増えた。


聞いた話によると、原作はもっと長々としたバックボーン説明があるらしく、アニメ化においてそれらをカットしてくれたのはマジで英断だったと思います。

 

現状でも結構ギリギリのバランスというか、人によってはリタイアしても全然おかしくない横軸の連打でした。縦軸が面白い作品なだけに、これ以上はキツくなりそう。


なお、1期のみの感想だと”まだまだ全然食い足りない”という感じ。そもそも完結してないし、序章だし。

 

僕の見たかったものはまだ30%程度しか見られておらず、作画クオリティとファンサが楽しいアニメになってしまう感じ。

改めて、続きに期待したいと思います。


なお、ここまで楽しみにさせておいて続きまで遠かったら相当キレる自信があるので、どうか早めの最終巻発売とアニメ続報をオナシャス……